耀変天目を作り始めたころ、秞面は、つるつるのガラス質の黒でした。
あまりにも、未来的過ぎている。と思った。きれいではあるが、国宝とは肌合いが違いすぎた。そこで、黒の地肌の研究をした。国宝稲葉天目を見ると、青い紋がゆらいでいる。つまり青い縞状の紋が中心部に流れ下っているように見える。この現象はノ木目の現れ方に似ていると思った。下写真は国宝稲葉天目の内側
下は、一般的なノ木目天目の表面
ノ木目を作るには透明秞の調合ではなく、結晶を析出させうる組成に調合にする必要があった。すると次のように結晶がわんさか析出して、黒の中に白いもやが発生しだした。下は天目秞の顕微鏡による拡大写真
さらに拡大したのが下の写真
アノーサイトという結晶がでて、薄黒くなり貧相になった。そこで、二重掛けという方法を使い、それを解決することにした。下の写真は二重がけして黒い筋を出すことに成功したもの
これでも、まだ、ピカピカ感が気になった。国宝の表面は以下のようである。
この写真では、つるつるか、しましまか、よくわからない。しかし、ゆらぎをだすには、下地がノ木目の資質をもった黒でないとだめだという確信があった。そこで、わたしは、黒はカラスの濡れ羽色をめざした。下の写真である。
筋が垂れ下がっていて、つるつる、てかてか、でもなく、ざらざらでもない、しっとりとした黒地を1度掛けで作る事に成功した。これは、国宝とは違うかもしれないが、私のゆらぎ天目地の方が格調高く思えた。この縞縞(ゆらぎ)により、耀変の輝きに広がりができ、手にしっとりとなじむような優しさを感じた。
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